姫密桜
ねえ、マキ

貴方は
そんな大切な日を
いったい、誰と過すの?

パジャマ姿で偶然
話を聞いてしまった私は
リビングのドアの前で
立ち尽くす。

「あら、サクラ
 起きてたの?
 
 早く、顔洗って
 着替えてきなさい
 
 今朝は、マキの方が
 早いのね」

通学鞄を手に持ち
席を立つ槇。

「母さん
 やっぱり、コーヒーは
 いらないや
 
 俺、もう行くわ」

時刻を確認した、母。

「あら、まだ
 早いじゃないの?」

「いってきます」

槇は私から逃げるように

私の隣を通り過ぎる。
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