姫密桜
その手の上に、そっと
触れる、槇の大きな手。

槇を見つめる梓の
潤んだ瞳の奥で
 
槇の存在は、父親と
重なる。

彼女の瞳から

零れ落ちる涙・・・

槇は、想うのだった。

深い闇の中から、梓を
連れ出してあげたい。

それは、恋愛にも似た
感情・・・
 
「アズサ
  
 楽しみにしてるよ
 誕生日」

槇の言葉に、梓は
心から、喜ぶのだった。

梓の手に触れる槇・・・ 
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