姫密桜
玄関の、ドアが閉まる。

私は、何てことを
してしまったんだろう。

槇の大切な日に

槇を悲しい気持ちに
させてしまうなんて

どうかしてた

私・・・

「マキ」

名を呼ばれて

立ち止まり

振り返る

槇の傍へと駆け寄った
私の呼吸は荒く乱れる

薄手の白いジャケットを
身に纏い、いつもよりも
少し上品な装いの貴方は
とても格好よくて、私は
ただ、見惚れていた。

「サクラ」

「マキ、ごめん
 
 ごめんね
 
 大切な日なのに
 
 ・・・ごめん
 
 マキ、お誕生日
 おめで・・・とう」

私の瞳から
ポロポロと流れる涙。
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