姫密桜
何が起ったの?

振り向く私の肩に
腕を回して、槇は
背を屈めて、見つめる。

私の瞳の、すぐ近くに
槇の綺麗な瞳が見える。

至近距離で見つめられて
いる内に、私の頬は瞳と
同じ色

真赤に染まる。

火照る頬、熱くて、熱くて
堪らないけど、心地よい。

これは、私の体温?

違う

これは、槇の体温。

私は、槇の額に指先で
触れ、そっと手を添えた。

「マキ、熱いよ」

「やっぱり?
  
 何か起きてから
 ずっと、熱くて」

「熱いのは
 熱が、あるからだよ
 
 家に帰ろう
 ・・・マキ?」

見つめる瞳。
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