姫密桜
サクラ・・・

今なら、まだ

引き返せるかもしれない

「大丈夫
 熱は、無いな

 俺、ちょっと寝るわ」

櫂ちゃんは
自分の部屋へ入り
開いたドアは、静かに
閉まっていく。

閉まるドア・・・

私は

心の中で告げる。

ごめん

ごめんね、櫂ちゃん。

私、引き返せない

槇が好きなの・・・

家族の絆が壊れても

それでも

槇と離れたくない。
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