姫密桜
「ナチ、痛いよ

 頭がボサボサになる」

乱れる髪・・・ 

「ああ、ごめん、ごめん
 本当、良かったな
 サクラ」

「ありがとう」

そこへ、和歌子が現われた。

「サクラ、ナチ君
 おはよう」

「おう」

「ワカ、おはよう」

三人は、並んで歩く。

「昨日のドラマ、観た?」

私は、全く気づいていなかった

彼女が、傍に居たことを。

折口さんに
聞こえてしまっていた事を。

血が繋がらない・・・

その言葉は

彼女の心を、縛り

彼女の中で、何かが壊れた。

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