姫密桜
西や、クラスの仲間と共に
移動教室から戻る、槇の手に
触れるのは、梓の手。

「マキ、話があるの、来て」

大胆な彼女の誘いに、槇は
断わる事ができずに
持っていた教材を、西に渡して
彼女と行動を共にする。

階段を少し上った踊り場に
二人きり。

「オリグチ、何かあったのか?
 一週間も学校を休んで・・」

人目など、気にせずに
槇の傍に近づき、胸に手をあて
頬を寄せる、梓・・・

行き交う、生徒達が見つめる。

梓の肩に手をあてて距離を取る
槇は、彼女を見つめた。

「オリグチ、どうした?」

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