姫密桜
「オリグチ、落ち着いて
 ここじゃ、ちゃんと話せない
 
 帰りに、校門で待ってる
 二人きりで話そう」

「マキ、お願い
 もう一度、私を選んで

 ねえ、お願いだから」

困っている、槇の姿・・・

興奮状態で、冷静さを
失っている彼女に

届かない、槇の声。

槇の事を好きな三年の
女生徒達が見兼ねて
声を投げた。

「クスミ君
 先生が呼んでるよ」
 
「早く
 教室に戻った方がいい」

彼女達の声に、こっちを
見上げた槇は、私に気がついた

「サクラ・・・」

槇の声に、折口さんも
私の存在に気がついた。

私を睨みつめる

彼女の瞳・・・
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