姫密桜
桜の存在、理由・・・

千草の閉じ込めた愛・・・

「エイジ
 苦しい・・・放して」

『苦しい・・・放して』

あの時と同じように・・・
抱きしめる永次の腕が解けた。

「少し、話さないか?」

「ごめんなさい、急いでいるの
 それに、貴方と話す事なんて
 私には何もありません」

その場から、早歩きで
去ろうとした千草に

聞こえる声・・・

「俺達の子供・・・
 元気にしてるのか?」

振り返る千草の瞳から
涙が流れた。

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