姫密桜
開いたままの

槇の、部屋のドア。

今度は
こめかみを押さえる、槇。

「マキ
 そんなに、痛いの
 大丈夫?」

上体を起こし、ベッドに座った
槇は、手を出した。

「薬、ちょうだい」

私の手から、貴方の手に
薬が渡る。

「はい、お水」

槇は、グラスのお水を
全て飲み干した。

「ありがとう」

そして、槇が差し出した
グラスを私が取ろうとした時

槇は、その場に立って
グラスを持ったまま
私を抱きしめた。
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