姫密桜
『大丈夫だよ

(槇との関係は)

 何も

 変わらない』

私の想いに気づいているかも
知れない櫂ちゃんに、私は
以前、そう告げた。

それなのに・・・

槇も私も、櫂ちゃんの存在に
気づかないまま、夢中で
キスを交わす。

二人の関係に、さすがに
驚いてはいたが、櫂は案外
冷静でいられた。

そんな櫂の耳に、足音が
聞こえる。

櫂は、自分の部屋のドアを
思いっきり閉めた。

二人に気づかせる為に・・・

二人を離れさせる為に・・・

私達は、その音に我に戻り
慌てて離れた。
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