姫密桜
「アニキ
 帰って来たみたいだな?」

「どうしよう、マキ
 
 ドアが開いてるよ」

「大丈夫だよ
 アニキの部屋は
 このドアの前を通らない」

そう櫂は、槇の事が心配で
声をかけようと、この部屋
の前に・・・

槇の言葉に、私が
ほっと息をつくのと同時に

ドアを強くノックする
音と、母の声が聞こえた。

「カイ、電話よ」

「誰?」

「ユウキ君・・・
 
 そう言えば
 同窓会の葉書きが
 来てたわよ
 机の上に置いてる」

「マキ、私、行くね」

「ああ」

槇から、グラスを手に取った私
は槇の部屋を出てドアを閉めた
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