姫密桜
それから、三時間が過ぎたが
槇が部屋から出てくる気配は
一向に無い。

今もまだ、貴方は
眠っているのだろうか・・・?

私は、リビングのソファーに
母と二人、肩を並べて座る。

そして、櫂ちゃんのお土産の
ショートケーキを食べながら
スペシャルドラマを見ていた。

「このドラマ
 配役を失敗したわね
 
 悪い男に、この俳優は
 ダメだわ
 ただ、嫌味なだけ」

「ほんと、そうだね」

「内容も、今ひとつ」

本当、退屈なドラマ・・・

「じゃあ、見なきゃいいのに」

その声に振り返ると
お風呂上りの櫂ちゃんが
Tシャツに短パン姿
頭には、白いバスタオルを
フードのように被って
現われた。
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