姫密桜
そして、右手で頭を拭きながら
左手で冷蔵庫のドアを開ける。

「母さん、ビール貰うよ」

「ええ」

櫂ちゃんは立ったまま
ビールの缶を開けた。

「母さん
 ちょっと来てくれないか?」

書斎から、母を呼ぶ父の声。

「何かしら?
 カイ、ここ座りなさい」

「ああ、ありがとう」

私の隣に、櫂ちゃんは座る。

リビングに、櫂ちゃんと
二人きり。

肩が触れ合う距離・・・

こんな風に、櫂ちゃんと
ソファーに並んで座るなんて
本当、久しぶりで何だか
とっても照れくさいよ・・・
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