姫密桜
「サクラ、聞いてる?」

「えっ、何、ごめん?」

「俺のケーキ
 お前に、全部やるよ」

「さすがに
 全部は貰えないよ」

「じゃあ、半分やる」

「やったぁ
 カイちゃん、大好き」

櫂の腕に甘えてみせる桜。

櫂のビールを持つ手が揺れる。

「サクラ、危ない
 零れるだろう」

「ごめんなさい」

「お二人さん
 えらく、楽しそうだね
 
 テレビも見ないで」

その声に振り返ると

今度は
槇が立っていた。
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