姫密桜
「えっ、サクラ」

「サクラ?」

槇の声に呼び止められて
私は槇を見つめる。

「先に行くね・・・
 
 いってきます」

「いってらっしゃい」

私の態度が大好きな
槇を不安にさせる。

「あらっ、サクラ
 お弁当、忘れてるわ
 そうだ、マキ
 悪いけど学校に
 持って行って、サクラに
 渡して・・・
 
 マキ?」

槇は、席を立ち
お弁当を二つ、手に持つ。

「俺も、もう行くわ」

「あら、あらっ
 今日は学校で
 何かあるの?」
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