姫密桜
お弁当箱を鞄にしまった
槇は靴を履き、慌てて
出て行く。

「いってきます」

「いってらっしゃい
 
 二人とも
 どうしたのかしら?」

首を傾げる母。

櫂は、何も言わずに
朝ご飯を食べる箸を進める。

私は、食卓から逃げるように
学校へと続く道のりを走る。

青信号、走って横断しようと
した私を呼び止める槇の声。

「サクラ、待って」

私は、歩みを止めて
振り返った。

信号は、赤に変わり
走り出す車・・・

「マキ、どうしたの?」
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