姫密桜
槇・・・

貴方は、家から走って
この私を追いかけて来て
くれたの。

私の元へたどり着き
俯いて、息を切らす貴方。

汗が、額から滴り落ちる。

「マキ、だいじょう・・・
 マキ・・・?」

槇の手が、私の手を掴む。

そして、貴方は私を
引き寄せる。

「マキ、ここじゃ駄目
 こんなところで
 誰かに・・・」

「黙れよ
 ・・・(ハアハア)
 少し、黙って」

槇の怒った口調に戸惑う私を
貴方は、その腕で、きつく抱く

私の耳元で
槇は、荒い息をつく。
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