姫密桜
彼女に何度、槇が話して
聞かせても、私達の事を
理解してくれる訳が無い。

理解なんて、できないよ。

私達は、知らないだけで

産まれる前からの宿命に
より、母親達と同じように
一人の男(ヒト)を奪い合う。

勝つか

負けるか・・・

貴女は、槇を手に入れる為に
私の心をズタズタに引き裂く。

そして、自分の心も傷つける。

「マキ
 ご飯粒、付いてるよ」

私は指先で、貴方の口元
に付いた、ご飯粒を取って
あげた。

その指先が、貴方の唇に
触れると、貴方は唇を微かに
開き、私の指先を銜えた。
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