姫密桜
「おいしい?」

私の問いかけに、貴方は
何かを考えている。

大好きな、マキ・・・

貴方は、もう一度大きく
口を開けて、今度は
歯を立てて、私の指先を
強く噛んだ。

「痛い」

私は、手を自分の方へと
引き、槇に噛まれた
指先を見つめた。

「普通、噛む?」

「おいしいかは
 食わなきゃ分からない」

それも、そうかも・・・

何も言えない、私。

「何、納得してんだよ」

二人は、笑い合う。

マキ・・・お願い

私以外、誰も愛さないで

これから先も、ずっと・・・
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