姫密桜
その頭に触れる父の
大きな手。

『守りたいものがある』

そう言い放った
息子の瞳・・・

一人前の男の瞳を見た
父は、その成長をとても
嬉しく思うのだった。

守りたいもの=女性

それは、妹・・・

泣いている、僕の妹。

君の涙を、僕はみたくない。

桜の部屋のドアを叩く、槇。

鍵が掛けられたドアは
槇のひどい仕打ち(誤解)
に鎖された桜の心のよう・・・

「サクラ、寝たのか?」

返答の無い部屋の前

遠ざかる、槇の足音・・・

こんな顔、槇に見せたくない。
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