姫密桜
愛の行方

可愛い妹

櫂の部屋のドアノブに触れた
槇は、深呼吸をする。

これから、兄に全てを話す。

アニキは俺の話を聞いて
どんな顔をするだろう?

ドアが静かに閉まる。

「なんか、しばらく見ない間に
 この部屋、ずいぶん雰囲気
 変わったね」

彼女の家にお泊りの多い、櫂

この部屋は、昔よりもドアが
閉まっている事が多く

槇がこうして、櫂の部屋に
入る事は、滅多に無い。

「でも、相変わらず
 あのポスターは健在だね」

櫂が好きな
ロックバンドのポスター

「ああ」

机の上、本棚には何やら
難しい本がぎっしり。

その一冊に触れようと伸ばした
槇の手・・・

櫂の深い声・・・聞こえる。
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