姫密桜
浅い眠りに、何度と目を覚まし
結局、朝早くに目覚めて
しまった私は、腫れた瞳を
前髪で隠し、家を出て行く。

「いってきます」

「えっ、サクラ・・・?」

開かれるドア、桜の後姿。

「サクラ
 今日も、また
 えらく早いのね・・・

 お弁当、まだ・・・」

振り返り、母親を見る事
無く答える、桜。

「パン買うからいいよ」

「そう・・・気をつけて
 いってらっしゃい」

ドアは、音を立てて閉まる。

槇は、きっとまだ眠ってる。

重い瞼

重い足取り・・・
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