姫密桜
購買部、パンを買う為に並ぶ
桜の瞳に映るのは、遅刻して
来た、梓の姿。

見つめ合う、二人。

彼女の唇が、動いた。

「・・さない」

渡さない・・・

確かに今、彼女はそう
私に言った。

渡さないのは・・・槇。

嫌な胸騒ぎがする。

「どうかした、サクラ?」

「ううん」

「ねえ、サクラ
 マキさんと
 喧嘩でもしたの?」

「えっ、してないよ
 
 気づいただけだよ
 
 いつまでも兄とお昼時間
 を一緒に過ごすなんて
 変だもの」

「そうかなぁ?
 変な事無いと思うよ
 
 兄妹で仲が良くて
 羨ましいよ」

兄妹・・・
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