姫密桜
「・・・そう、分かったよ
 
 わざわざ、ごめん
 ありがとう

 サクラに伝えてくれる」

校庭を見つめると、そこには
もう槇の姿は無かった。

マキ・・・ごめんね

あなたに近づけない・・・

教室で和歌子を待つ私の元に
現れた担任の先生と中年の
ダンディな男性。

誰・・・?

「お前ら、いつまで居残ってる
 早く帰らないか」

「先生、さよなら」

「さようなら」

教室を出て行く、生徒達。

机の上に置いたままの鞄を
取ろうと、腕を伸ばす私を
呼び止める先生の声。

「クスミ、ちょうどよかった
 
 オリグチの帰る用意
 手伝ってくれないか?

 私が、女生徒の持ち物に
 勝手に触れるわけには
 いかない

 オリグチさん、彼女に
 任せてもいいですか?」
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