姫密桜
「アズサ、さっきのは・・?」

「姉ちゃん、ご飯まだ?」

現れたのは、最近、家で
大人しくしている梓の弟。

「すぐにできるから・・・」

ここは、楠見家・・・

夕方の忙しい時間に流れる
異様な空気・・・

何かを考えながらゆっくり
と受話器を置くのは、父親。

浴室から濡れた手をエプロンで
拭いながら現れた母、千草は
驚いた表情の夫を見つめる。

電話の傍に立つ、夫・・・

「あなた、まさか電話に?」

「ああ・・・
 お前も聞いたのか?」

「ええ」

驚きの少ない妻・・・

「お前、二人の事

 何か、知ってるのか?」
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