姫密桜
玄関、二階へと続く階段の
方向を見つめて、誰もいない
事を確認した妻、千草。

「私が知っているのは
 サクラのマキへ対する
 恋心、熱い想いだけ・・・
 
 貴方だって本当は気づいて
 いるでしょう?

 あの二人が両想いだという
 ・・・」

「知らない、そんなこと
 俺は、何も知らない

 そんな事ある訳が無い」

「うそ、少なくとも貴方は
 マキのサクラへ対する 
 想いだけは知っていたはず
 
 知っていたから、マキに
 ルミちゃんと付き合う事を
 勧め、幼い二人の婚約を 
 許した、違うとは・・・ 
 言わせない」

「ああ、そうだ・・・」
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