姫密桜
「あなた、やっぱり」

千草は、顔色を曇らせる
夫を見つめる。

「ああ、チグサ
 お前の言うとおりだ・・・
 
 マキがルミちゃんと付き合い
 だして順調に愛を育み、将来
 結婚したいと言ったあの時
 私は、正直ほっとしたよ
 
 マキがサクラへの想いを
 乗り越えて、他に愛する人が
 できた
 
 お前だって安心しただろう?
 
 兄と妹で愛し合うなど
 合ってはならない・・・」

ドサッ・・・

何かが落ちる音

物音がする方を、二人は
見つめる。
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