姫密桜
そこには、鞄を床に落として
呆然と立ち尽くす桜がいた。

「サクラ・・・」

『兄と妹で愛し合うなど
 あってはならない』

『あってはならない
 
 あってはならない
 
 ・・・・・・』

父の重い言葉が何度も
何度も、私の耳の中で
繰り返される。

耳障りなうるさい
虫の声のように・・・

マキとの関係を両親に
知られてしまった・・・

どうして?

誰が・・・

槇が話してしまったの?
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