姫密桜
深いため息をつく、槇の瞳に
校門が見えた、その時・・・

耳を劈(つんざ)く、笑い声
が聞こえた。

槇の肩に、馴れ馴れしく腕を
回すのは、同級生の不良少年

数人の仲間と共に律儀に
朝から学校へ登校してくる

「なあ、クスミ?
 お前、マジかよ」

厭らしい目つきに、言葉。

「妹と親の目盗んで
 よろしくやるのは
 どんな気分だ?」

槇は、肩に回された腕を
振り払うと、その男子生徒
を睨み付けた。

「何、怒ってんの?
 
 やめてったら
 お兄ちゃん」

女性の声色を真似て、槇を
からかう生徒。
< 453 / 675 >

この作品をシェア

pagetop