姫密桜
彼女は、真剣な表情で
唐突に話を始める。

戸惑っているのは、父の方。

「チグサ、少し待って
 お願いだ
 急がないで・・・
 
 そう、まずは何か
 飲み物を頼もう」

女性に向ける寂しげな視線
彼女に接する、父の態度の
ひとつひとつが

父の愛の方が彼女よりも
勝っている事を、私に
知らせる。

女性が困るほどに父の方が
積極的。

「お願い、早く話を聞かせて
 私には今、貴方とこうして
 過ごしている時間は無いの

 今、私、家の中が
 ゴタゴタしていて・・・
 
 ごめんなさい、私ったら
 貴方に、何を
 話してるんだろう・・・」
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