姫密桜
槇の頬、青い痣に私は
優しく触れる。

「マキ、大丈夫だよ
 一人で頑張らなくていいよ

『二人で乗り越えて行こう』

 そう
 約束したばかりでしょう?」

「サクラ?」

真っ直ぐに、俺をみつめる
この瞳・・・

俺の中にも

桜の中にも

もう、迷いは無い。

「私も、槇があの家を
 出て行くなら一緒に行く」

「サクラ・・・本気なの?」

私は、頷く。

見つめる瞳に

もう、涙は浮かばない。
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