姫密桜
『エイジ
 私の事、忘れてもいいよ 
 ミスズを幸せにしてあげて』

「一人で貴女を育てると決めた
 ママは、その後、お父さんに
 出会って、その大らかな
 優しさに惹かれて結婚したの
 
 お互いの両親共に反対だった
 けれど、私はこの手に幸せを
 掴む事ができ、三人の子供と
 愛する人の居る、この場所で
 大切な時間を生きてきた
 
 エイジ、貴女のお父さんとの
 事は、もう過去の話・・・

 ただ彼が、サクラ、貴女の事
 私が住んでいるこの場所の事
 を知っていた事実には
 この私も驚かされたわ」

「そうだったのか・・・
 
 彼は、どうして?」

母は、首を左右に振る。

「サクラ、それが全て
 
 真実よ
 
 貴女は、アズサさんの妹」

妹・・・

槇を私から奪う、大嫌いな
彼女が、私のお姉さん?
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