姫密桜
「・・・
 お腹がどんどん大きくなる度
 不安な思いにも駆られた
 
 一人で育てるなんて無理な
 事だったのかもしれないと
 彼に助けを求めたい
 彼にもう一度逢いたい
 
 彼を愛する気持ちが、その頃
 の、ママの胸にはまだ確かに
 合って、後悔の気持ちに
 苛まれ、とっても辛い日々を
 送っていた

 そんな想いを、貴女には絶対
 させたくなかった、後悔だけ
 はして欲しくなかった
 
 だから、奪ってでも自分の
 ものにしなさい
 
 そう、告げたの
 
 それは間違っていたかも
 しれない」

力強い、桜の声。

「ううん、ママは
 間違ってなんていないよ

 私、マキに愛を告げる事が
 できなかったら、どうにか
 なってた・・・

 苦しくて苦しくて・・・」
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