姫密桜
腕を振って払い除けようと
しても、手で解こうとしても
びくともしない、那智の手。

「ツムラ君、放して
 マキが行っちゃう」

「誰が放すかよ
 
 放したら、お前
 サクラのアニキに
 また、くだらねえこと
 言うんだろう?」

那智の真剣な眼差しから
目をそらす、梓。

「関係、ないでしょう

 私がどうしようと
 貴方には関係ない」

那智を見つめ、梓は言う。

「そんなにクスミさんの事が
 好きなら、彼女を振り向か
 せて、繋ぎ止めておいてよ
 
 マキから彼女を奪ってよ
 奪って・・・」
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