姫密桜
諦めなきゃいけないこと
分かってるよ。

「分かってる」

二人が抱き合う姿を偶然
見てしまった和歌子は
声をかけることなく
その場を離れた。



見慣れた風景・・・

佇む、一軒の家が
槇の瞳に映る。

どこかいつもとは違う風景。

ひっそりと静やか、寂しげ。

扉に手をかけた槇・・・

このドアを開ければ
何かが起こる。

何かが変わる。
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