姫密桜
『今は、貴方への想いを
 少しだけ閉じ込めて
 妹に戻る・・・』

ううん・・・

貴方への想いを永遠に
閉じ込めて

貴方の本当の妹になるよ。

「サクラ・・・
 
 お兄さん、だなんて
 呼ぶな
 
 他人行儀は、やめろ」

吐き捨てるように槇は言う。

ごめんね、マキ・・・

貴方を苦しめたくないのに。

最初で最後のデートを
台無しにしてしまった
私をいつか赦してください。

動物園を出た私達は何も
話さないまま、家へと帰る
道のりを歩く。

手を繋ぐこともなく、私の
少し前を歩く、槇の後姿を
見つめる。
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