姫密桜
ぼやける視界・・・

桜・・・

泣いたって
どうしようもないんだよ。

自分で決めて、実行
したんでしょう?

ほんとう、泣き虫
なんだから嫌になるよ。

立ち止まる、足。

一歩も進めない。

思い悩みながら歩く槇は
振り向かない。

二人の距離は、どんどん
離れていく。

悲しくて、私はその場に
しゃがみ込み、両手で
顔を覆った。

ヒック、ヒックとしゃくる声
鼻を啜る音が槇の耳に届いた
< 573 / 675 >

この作品をシェア

pagetop