姫密桜
泣いている桜の元へと
駆け寄る槇は、桜の傍に
しゃがみ込み、顔を覆う
桜の手にそっと触れる。

「泣かないで、サクラ
 ごめん

 お前が一番辛いのに
 くそっ、俺は
 何も分かってない」

地面に打ち付ける、槇の手
は、すり傷のように薄らと
血が滲む。

私は膝をつき、槇の肩に
両腕を回して抱きつき
言う。

「マキ、マキ・・・

 私、つらいよ
 胸が、苦しいよ
 
 あなたを嫌いに
 なれたらいいのに・・・」

槇のシャツに、桜の涙が
滲みこむ。

『僕の桜が泣いてる』
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