姫密桜
「お兄ちゃん、いいよ
 ハンカチが汚れちゃう」

私は素手で、床の汚れを
吹き取った。

いつかの那智のように・・・

「バカ、汚れてるじゃん
 手、ちゃんと洗えよ

 じゃあな」

槇は西さんと、教室へ向かう

手を、パンパンと払う私に
聞こえる声。

「お兄ちゃんって、何
 
 どういうこと?」

『私は、マキの事を
 お兄ちゃんだなんて
 絶対に呼ばない』

「どうして
 
 そう、呼んでるの?
 
 まさか・・・私のせい?」

私は、頭を左右に振った。
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