姫密桜
「違う、貴女のせいじゃない
 
 オリグチさん、今日の放課後
 付き合ってくれる?

 貴女と話したいの?」

話さなきゃいけない。

「父が迎えにくるの
 少しでいいなら・・・」

「うん・・・」

折口さんと話す私の姿を
槇は遠くから見つめていた。

「サクラ」

「サクラ、おはよう」

「おはよう
 あれっ、どうしたの
 二人、一緒に登校?」

私の言葉に、頬を真っ赤に
染める和歌子。

「校門で会っただけだよ
 ねえ、ナチ君?」

「ああ」

那智は見つめる折口さんの
後姿を。
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