姫密桜
「アズサさん、待って
 まだ・・・」

彼女は振り返ると
真っ直ぐに私を見つめる。

潤んだ瞳・・・

「サクラ
 バカな事はやめなさい

 そんなことされても
 私は嬉しくない」

私の瞳も涙で潤んでいく。

私達の、愛する人は

同じ人・・・

屋上のドアの前に立って
いたのは、那智と和歌子。

二人の事が気になって
最初から話を聞いていた。

「こんなところで
 何してるの
 
 盗み聞き?」
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