姫密桜
「ほらっ、手」

「えっ?」

那智は、和歌子の手を
握り締めた。

「小せえ、手 
 
 なあ、お前
 夏休み、時間ある?

 デートする?」

「・・・うん、する」

二人は、手を繋いで階段を
降りて行く。

帰り道・・・

二人は、ずっと手を繋いでた

真っ赤な、和歌子の頬。

「ワカ、よかったね」

「うん」

私の手に触れない、槇の手。

寂しげな、私の手。
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