姫密桜
玄関で靴を脱いでいるのは
槇ではなく、櫂ちゃん。

「ただいま、サクラ
 ほらっ、お土産」

櫂ちゃんは元気のない私に
コンビニの袋を差し出した。

「うわぁ、冷たい
 アイス?」

「ああ、正解」

「やったぁ、うれしい」

心から微笑んで見せる私の
頭に触れる、櫂ちゃんの手。

「元気なサクラに戻ったな

 ところで、サクラ
 出掛けるのか?
 
 お前、今日は何か
 いつもと雰囲気違うな」

「うん、やっぱり
 
 昨日、友達に洋服
 選んでもらったの
 
 彼女、サエグサさんね
 とっても、お洒落なんだよ

 どう、大人っぽい?」
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