姫密桜
階段から降りてくるはずのない
足音と共に聞こえる声。

「ちょっと、ズボン短くね?」

「お前、居たの?」

振り返るとそこには居ないはず
の槇が立っていて、驚く私の声
は裏返る。

「そう・んなこと、ないよ
 みんな、これぐらいだよ
 
 それより・・・
 お、お兄ちゃん 
 
 いつ帰ってたの?」

「朝方、バイト先の先輩に
 送ってもらった」

「バイトの後、先輩と
 朝まで遊んでたの?」

「あっ、ああ
 それより、サクラ
 背中、透けてる」

「うん、そうだよ

 だって、バックレース
 だもん」
 
「上、なんか羽織れよ」

「えっ、でもそれじゃ
 せっかくのレースが
 見えなくなる」
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