姫密桜
「サクラ?」

「もう、いいよ
 
 マキが決めた事なら
 私は、何も言えない」

溢れる涙

零れ落ちる

「サクラ、お前
 何、言ってる
 
 今、言わなくてどうする
 
 今、マキを繋ぎ止めなくて
 いつ・・・」

私は、涙に濡れる瞳で櫂ちゃん
を見つめ告げる。

「カイちゃん

 マキの心はね
 もう、私には無いんだよ

 私にはマキを繋ぎとめる
 術がない」

櫂の手がドアを勢いよく
叩く音が家中に響く。
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