姫密桜
「いい加減にしろよ
 
 マキは

 お前の為に・・・」

私の目の前、櫂ちゃんは
手紙を広げて見せた。

『桜へ・・・』

私は、その手紙を見つめ
瞳に飛び込んでくる槇の
想いを知る。

『俺の存在がお前を
 苦しめる・・・』

ううん、違う

そんなことないよ。

『お前の涙を見るのは
 正直、辛い・・・』

槇、ごめん・・・

『桜、どうか俺がいなくなった
 事を、自分のせいだと
 嘆かないでくれ
 
 本当は、俺が弱いだけ・・・
 お前の傍に要ることが
 辛いだけ・・・
 俺は、お前から逃げただけだ

 お前のせいじゃないさ』
< 649 / 675 >

この作品をシェア

pagetop