姫密桜
「アズサちゃんが
 そう言うなら考えてみるよ」

「バカ、お前
 何、言ってんの?
 
 おいっ、アズサ
 お前、余計な事言うなよ」

「ワカコ、じゃあね」

「うん、バイバイ
 明日・・・」

和歌子は、那智の手を取り
繋ぐ。

「ナチ君、帰ろう」

「ああ、帰ろう」

「桜、きれいだね?」

「ああ」

二人は桜の花を見上げて
微笑む。

車内から流れる景色を
見つめる梓に父は言う。

「アズサ、お前
 最近、楽しそうだな」

「うん、とっても楽しいよ」

娘の満面の笑みに父は
ほっとする。

赤信号・・・
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