姫密桜
見慣れた町並みを歩く私達に
降る桜。

「サクラ、止まって
 髪に花びらがついてる」

いつかのプレゼント、青色で
縁取られた腕時計をした
貴方の手が私の髪に触れる。

「マキ、とれた?」

「ああ、とれた」

その手は

私の手を探し

繋がる。

私は、現実の時の中
幸せな心地よい気持ちで
いっぱいになる。

「ママに、お父さん
 驚くかなぁ?」

「だろうな・・・」
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