姫密桜
折口さんは
私達の前を行く。

「オリグチさん、一緒に
 教室まで帰らない」

私の声に、彼女は答える

「私、お手洗いに
 寄りたいから・・・」

「そう、分かった・・」

彼女の真っ直ぐに伸びた
長い髪が揺らめく。

「アズサさん
 私、少し苦手かも」

「ワカも
 そう、思ったんだ」

「って事は、サクラも」
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